大判例

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木津簡易裁判所 事件番号不詳 判決

主文

被告人を罰金壱万円に処する。

右罰金を完納することができないときは金四百円を壱日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

訴訟費用は被告人の負担とする。

理由

罪となるべき事実

被告人は普通自動車運転の免許をうけ奈良電気鉄道株式会社にやとわれ、同会社営業用乗合自動車の運転業務に従事するものであるが、昭和二十九年二月四日午前十時十六分頃右会社所有の京二―二〇六〇七号営業用乗合自動車に乗客二十五名位を乗せて運転し、京都府相楽郡木津町大字相楽小字高下附近国道上を中央よりやや南寄りに時速約四十粁で西進し木津中学校正門附近に差しかかつたが、このような場合自動車運転者たるものは常に前方並びにその左右を注視して校門の内外を点検すると共に校門出入者の有無を予め注意するは勿論、警笛を吹鳴しながら速度を適宜減じて進行するなど事故の発生を未然に防止すべき業務上の注意義務があつたに拘らず、被告人はこれを怠り、前方左側を注視せず、かつ警笛を吹鳴しないで漫然四十粁の時速のままで進行を続けた過失により、折柄自動二輪車に乗車して前記木津中学校正門内から前記国道上に出て来た植田金吾を左前方約十米余位の地点において初めて発見し急遽把手を右に切ると共に急停車の措置を執つたが及ばず、同人の自動二輪車に右乗合自動車車体前部中央を衝突せしめて該自動二輪車と共に右植田金吾を顛倒せしめ、よつて同人に対し頭蓋骨骨折等の傷害を負わしめ以て同日午後一時五十分頃死亡するに至らしめたものである。

証拠の標目(省略)

(なお判示注意義務について附言するに、(一)前記裁判所書記官補作成の昭和二十八年八月二十一日附検証調書(以下(い)の調書と略称する)によれば、判示中学校正門には判示国道南端より南に向い六、九米にわたる間高さ一米のコンクリート塀を設けある事実、右(い)の調書並びに前記裁判所書記官補作成の昭和三十三年三月四日附検証調書(以下(ろ)の調書と略称する)によれば、植田金吾の発車地点は右国道南端より南に最大二十六、二米の地点である事実、右(い)の調書によれば右校門より東へ三十六、八米の国道上においては本件乗合自動車より右中学校生垣内を通行する人の姿が認められ、同三十米にして校門附近が明瞭である事実、裁判官の証人石山修に対する尋問調書によれば、右生垣の高さ、繁茂の状況は昭和二十九年二月四日当時と大差なき事実、を各認めることができるので、少くとも右校門より東へ三十六、八米附近国道上において被告人は前方及びその左右の注視、警笛の吹鳴、速度の適宜減少等の措置を執るべき義務があつたことを認めることができ、(二)証人古川市蔵、同中条修一、並びに同中島哲太郎の各証言も、後記(三)の認定事実と併せ考えるも右認定を覆えすに足らず(三)鑑定人斎藤義光、同森下佐一郎の各鑑定書を綜合すれば判示二輪自動車と判示乗合自動車とは略々同速度にしてかつ本件各証拠に徴すれば判示乗合自動車は所謂優先通行権を有することを認めるに足るが前記(一)認定の各事実よりすれば右(三)認定の各事実は(一)認定の注意義務を覆すに足らない。)

法令の適用

刑法第二百十八条(判示業務上過失致死の所為)(所定刑中罰金刑を選択)

罰金等臨時措置法第二条第三条

刑法第十八条(換刑留置)

刑事訴訟法第百八十一条第一項本文(訴訟費用)

(昭和三〇年四月一五日木津簡易裁判所)

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